Strawberry Love


そう気付くのに少し時間がかかった。



有名アーティストさえ知らない私は



もちろん恋愛なんてしたこともなければ、



キスもしたことがないわけで…



ファーストキスは、好きな人とするものだと思っていた。



「ほら、涙止まった。」



そう言いながらその男は笑っていた。



「なっ…!!何するんですか!!!ファ…ファーストキスだったのに…っ…」



そう言うと男は更に笑って言ってきた


「まさか俺のこと知らねぇの?普通喜ぶんじゃね??」


「は?!知らないって今会ったばっかりです!!しかも何自惚れてるんですか!!最低です!!」


息を切らしながら必死に言った。



「俺のこと知らなかったりとか、まじ新鮮じゃん。名前は?」



「知らない人になんで名前を教えなきゃいけないんですか!!」



「ははっ…本当にウケる!俺は、矢崎 朔斗(ヤザキ サクト)。ねぇ、名前は?言わないとまたキスしちゃうよ?」



…っ、



「…篠宮 葵。」



私は嫌々名前を教えた。



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