最後の約束
土方がほんの少しでも動けば鉄之助の首から血が流れるであろう距離。
首筋から鉄之助の全身を駆け巡るのは、命を奪う冷たい刃の感触。
その恐怖のまま鉄之助はぺたりと床に座り込む。
そして思うのだ。
─────あぁ、俺は今…"副長"に怒られているんだ──と。
目の前に立つ土方の姿は、紛れもなくかつて見てきた"新選組・鬼の副長"のもので。
ここ最近優しくなってきたという噂など嘘のように、何一つ変わらずあの頃のままだった。
その姿に鉄之助の目の奥がじわりと熱くなってくる。
同時にどんどんと歪んでいく土方の姿。
鉄之助の瞳には溢れんばかりの涙が溜まっていた。