最後の約束
そんな鉄之助の様子を黙って見ていた土方は静かに刀をおろす。
そして
「馬鹿が。俺にこんな猿芝居みたいな真似させんなよ」
とまるで我が子を見るように微笑んだ。
土方は刀を鞘へ収めると、未だ恐怖に座り込んでいる鉄之助の前へ腰をおろした。
「鉄、俺はお前に生きていてほしい。わかるだろ?」
紡がれていく土方の言葉。
優しい響きのそれは、鉄之助の言葉を待つことなく続けられていく。
「俺は短い時間の中で沢山の奴らを失った。袂を別れた奴もいれば、病に臥した奴も、戦いの中で命を落とした奴もいた。
それから───俺の力不足で見殺しにしちまった親友もいた、な」