最後の約束
そうまで言われてしまっては、もう鉄之助は頷く以外出来ない。
その土方の顔があまりに優しくて。
これが本当に"歳三"からの願いなのだと理解せざるをえなかった。
鉄之助にとって土方歳三という男は絶対。何よりの存在で。
隊士募集の知らせを聞き、美濃の地より馳せ参じてから今日まで鉄之助は彼の背中を見て歩んできた。
武士たるを、男たるものを土方の後ろ姿に学んできたのだ。
それ故に、これ以上彼の意志を拒むことは出来ない。
そんなこと、していいはずなどない。
「…必ず…お届けいたします」
絞りだしてやっと聞こえる程度の声。
それでも、その声は確かに土方の耳に届いた。
「あぁ。頼んだぜ」