最後の約束
《君まもらむ》
鉄之助が日野に辿り着いたのは、それから二ヵ月後の七月初旬。
激しい夕立があった日のことだった。
「…土方、副長、の…信念…を…伝えに、参りました…っ!」
切れる息。乱れた服装。
それすら気にしていられないほど、鉄之助はただこの地だけを目指して走ってきた。
蝦夷を出た日に比べ、随分細くなったように見える顔や手足。
それでも瞳に宿った光は確かに新選組隊士のもので。
「有り難うございます、市村くん。本当にお疲れ様でした。」
文字通り命を掛けてこの場所に辿り着いた鉄之助を、佐藤家の当主・彦五郎は暖かく出迎えた。