最後の約束
土方が京から連れてきた小さな小姓を見るのは彼らが江戸に立ち寄ったとき以来二度目だが、随分大人になったものだと彦五郎は思う。
同時に土方歳三という男はそれほどまで凄い男になったのか、と。
悪戯ばかりして周りを困らせていた悪餓鬼は、知らぬうちに一人の少年が命を懸けるまでの男になったのだ。
「貴方が来てくれて、生きて辿り着いてくれて、歳もきっと喜んでるはずだよ」
ふわりと浮かんだ柔らかな彦五郎の笑みが、鉄之助には最後に見た土方の笑みと重なって見えて。
その一言を聞いた瞬間、鉄之助の瞳からはとめどなく涙が溢れだした。