最後の約束
走り続けてきたこの二ヶ月間。
決して楽な道程ではなかった。
官軍(新政府軍)に見つからぬよう、誇りの誠を身につけることも許されず、時にはその身を隠し、時には追っ手を撒いて命からがらここに辿り着いたのだ。
全ては一つ。
彼との約束を守るため。
「副長…市村鉄之助、ちゃんと任務完了しました…っ!!」
歯を食い縛り続けてきた気持ちが解放された気分だった。
十六の少年が背負うには重すぎる責務。
それでもそれを鉄之助に託したのは土方からの優しさだったのか。
涙を浮かべながら空に向かって叫ぶ鉄之助の声が辺りに響いた。