最後の約束
明治二年。
後の世に戊辰戦争と呼ばれ名を残すことになる江戸幕府最後の戦いも終幕の兆しを見せ始めた頃。
新選組の副長として大勢の隊士たちをまとめ上げていた土方歳三は、蝦夷の地にて陸軍奉行並の職へと就いていた。
自分の結末は誰より自分が理解している。
そう考えていた土方は用意していた一枚の写真と半紙を二寸ほどに切った紙、そして二本の刀と切り落としていた遺髪になるであろう自らの髪の束を一人の男に託した。