最後の約束
「嫌、です!!私は…俺は!先生の…副長の傍で戦いたいんです!!」
震える声で紡いだのは、揺るがぬ覚悟と強い信念。
土方と鉄之助の二人しか存在しないこの静寂な部屋にその言葉は驚くほどよく響く。
そんな緊張状態の中、鉄之助の頭の隅の方では、今までこれほどまで副長に抵抗する言葉を返したことがあっただろうかという冷静な思考が今の状況を見ていた。
「こっから先にあるのは死だけだ。そんなとこにお前を放り出すわけにゃいかねぇ」
土方は絶対に鉄之助の方を見ようとはしない。
まるで背中が語るものが全てだというように。
それが、嫌でも鉄之助に"最後の時"を教えようとしていた。