いちごのタルト
「俺がおごるって言ったんだからいいの。俺も甘いもの食いたいし。な!?」
そう言って笑う丈留に甘えてしまった。
近くのケーキ屋さんで買ってもらったいちごのタルトを持って、海岸に戻ってきた。
一体、今何時なんだろう?
浜辺に並んで座って、いちごのタルトを食べる。
「おいしい・・・」
私から漏れた一言。
「そういや、なんでいちごのタルト?」
不思議そうにきいてくる丈留。
「いちごのタルトね、おばあちゃんが大好きだったんだぁ。たまにね、作ってくれたりもしたの。だから、私にとっていちごのタルトはおばあちゃんとの思い出の1つなんだ」
そう、おばあちゃんはいちごのタルトが大好きだった。
‘おいしい’って食べるおばあちゃんにつられて、私もいちごのタルトが大好きになった。
「・・・そっか」
それきり、何も話さなくなった。
ざぶーん ざぶーん
波の音しかしない。