いちごのタルト
辺りはすっかり暗くなった。
「もう、帰るか。送っていくよ」
「いいよ。1人で帰れる」
「そっか。じゃあな」
「うん。今日はいろいろありがとう。本当に感謝してる」
本当だよ?
丈留にきいてもらったから、なんだか気持ちが楽になった。
また、明日から頑張ろうって思ったよ。
丈留は微笑んで、手を振ってくれた。
私も手を振りかえす。
前を向いた瞬間、急に寂しくなってきた。
もう少し丈留の隣にいたかった。
そういえば私、丈留のこと何も知らないな。
歳とか前はどこに住んでたのかとか、聞かないままに今日の時間が終わっちゃった。
家に帰っても私は、今日の丈留のことで頭がいっぱいだった。