龍華

あたしは、こんなに弱い。
心はきっと誰よりも弱いと思う。
強いのは実力。
体の傷はすぐよくなる。
だけど心の傷は・・消えない。
ささったまま、時間(トキ)は進んでいく。

癒してほしい。
このささっているものを抜いてほしい。

抜こうとしてくれる人はいる。
だけど、抜けない。

「・・なんで?」
「いや・・なんつーか。カンだな」

「・・・入ってたわけないじゃん」

「・・・そうだよな。でも―――まぁ、言わないでおく」

「・・は?」

「お前にはかりがあっからな」

「・・・だから、入ってないし」

もし、ばれたらどうなるんだろうか。
なんどそう思ったことだろう。

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