龍華

気のせいと思いたかった。
あの男の子の...面影はなかった。
目は暗い瞳で...
髪もシルバーになっていた。

でも、あたしは分かった。
まさか...総長になっているとは思ってなかった。

ありえなかった。
会話したあの時のことは
一度も忘れない。

ねぇ...嘘だと言ってよ。
嘘だって言ってほしい。

それは、俺じゃないって言ってほしい。

会話もせずに終わったけれど。
あたしは...認識したくなかった。


一番の敵。豹雅。

あの時、恋愛対象外って...
なんでそう言ったの?

その手を...赤に染めてほしくないんだよ?
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