龍華

「・・お前はいつまでたっても可愛げのねー奴。だからはなさねぇよ」
「離せっつってんだろ、ハゲッツ。」
「うるせぇよ、俺はげてねぇし。つーか一回黙れ」

「お願い・・・あたしを死なせてよ?辛いもん。生きてたって辛いもん。だから死なせてよ。必要じゃない存在なら消えたほうがましだよ、だから消えさせて」

「一回黙れ」

修哉の顔がすごく真剣で。
あたしは黙ってしまった。

「よいっしょ」

颯太が手伝ってくれてあたしを引き上げた。

「どうして・・・‘‘あたしなんか’’を助けたの・・・?」

「なあ、自分の事‘‘あたしなんか’’って言うな。それに必要の無い存在なんかじゃねぇよ。白尾の奴らはお前を必要としてる。勝手に必要のない存在なんかじゃないなんていうな。俺たちが・・・必要としてるから」

その瞬間あたしの涙腺が緩んだ。
< 65 / 146 >

この作品をシェア

pagetop