絶望の海 【青春・友情】
終わりの終わり
駅からの帰り道、私は考えた。
人が生きる意味と、死ぬ意味をゆっくりと考えた。
しばらくすれば男はホームから飛び込んで電車に轢かれて死ぬだろう。
男は30代後半だった。
私より少しだけ長い人生で、出した答えは『復讐』という形での死だった。
私は世界に『絶望』して死を考えた。
生きる『意味』死ぬ『意味』
そこに答えは無い。
けれど何か明確な答えがほしかった。
もしかしたら見つかるかもしれない。
もしかしたら見つからないかもしれない。
けれど、もう少し考えても良いかもしれない。
私は確かに『絶望』している。
けれど死ぬには足りていない、男と話して少しだけそれを感じた。
生きている事にも死ぬ事にも意味は無い…無いけれど、もう少しだけ待ってみようと思った。
私は家族が出払った自宅へと、一人歩きながら心に決めた。
そう…再び死が訪れる瞬間を…。
『絶望』が全身に満ち足り迷いが、消え果てるその時まで…。