絶望の海 【青春・友情】
終わらない始まり
「いったい何を?」
彼は質問の意味がわからず問い返していた。
私は彼にわかってもらえる様に説明した。
「私、本気で死のうと思った」
「うん」
「でも、あんたに邪魔された」
「うん」
「あんたがきっかけを奪った」
「ごめん」
「だから返して」
「でも僕には」
「また死にたくなるまで、さっきみたいに話を聞いて」
「でも…」
「ちょっとでいいから」
私はなぜだか泣いていた。
「…わかった、また君が死にたくなるまで話を聞くよ」
「約束」
そう言い私は小指を彼に向けた。彼はためらいなく私の小指に小指をかけてくれた。
「約束する」
そう言い力無い笑顔で言ってくれた。