絶望の海 【青春・友情】
とても単純な事だった。
誰かに話を聞いて貰いたかっただけだった。
真剣に耳を傾けて、言葉を交わしてほしいだけだった。
ただ、それだけの事だった。
私も彼もそれだけの事をただ純粋に望んだだけだった。
だけど、それがとても難しくて叶わないから、諦めが『絶望』に変わっただけだった。
お互いには大きな事だった。
けれど人から見たら小さな事で私たちは救われた。
ただ言葉にしたいだけ、聞いてほしいだけ、言葉を交わしたいだけ…ただそれだけを心に押し込めてた。
あれから他愛の無い話をお互いにするようになった。
年の離れた奇妙な友人。
そうお互いに言いながら、些細でつまらない事に怒ったり笑ったりした。
小さいけれど、大事なこと。