絶望の海 【青春・友情】


「嫌になったの…」

私は振り絞るように声を出した。

「何が?」

「社会も人も何もかもに意味が無くて、私にも何の意味もなくて、そんな世の中が嫌になったの」

「ああ、あったな僕にも」

男は感心するように頷いた。

「世の中が自分に関心が無くて、すべての事柄が何の意味もなくて、自分が居ようが居まいが関係無い、すべて作り出された幻想だって」

「あなたも?」

「社会に出れば嫌でも味わうよ、それはもっとひどくなる」

「絶望しないの?」

男はゆっくり頷いた。


< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop