絶望の海 【青春・友情】
「嫌になったの…」
私は振り絞るように声を出した。
「何が?」
「社会も人も何もかもに意味が無くて、私にも何の意味もなくて、そんな世の中が嫌になったの」
「ああ、あったな僕にも」
男は感心するように頷いた。
「世の中が自分に関心が無くて、すべての事柄が何の意味もなくて、自分が居ようが居まいが関係無い、すべて作り出された幻想だって」
「あなたも?」
「社会に出れば嫌でも味わうよ、それはもっとひどくなる」
「絶望しないの?」
男はゆっくり頷いた。