絶望の海 【青春・友情】
「するよ」
男は口にコーヒーを運びながらそう言った。
「年を重ねるごとに酷くなる、でも僕は彼女が居たからここまで来られた」
「その彼女ってどんな人?」
「そりゃ素晴らしい人さ」
そう言い男は如何に彼女が素晴らしいかを語り出した。
「つきあったの?」
「少しの間、でも彼女と僕は合わなかった」
「だから復讐しようと?」
「そうだよ、悪いかい?」
「死んだら復讐できるの?」
「いいやまったくの犬死にさ、死のうが生きようが彼女には何も関係ない…」
「じゃあ死ぬ意味なんて…」
私の言葉を遮り男は言った。
「でも、良い機会ではある」
男のだした明瞭な答えだった。