絶望の海 【青春・友情】
「馬鹿げてるかい?」
男は私に問いかけた。
「でも、こうでもなければ僕はまたずるずると生きてしまう」
「死なずに?」
「そう、僕は生きるにも、死ぬにも動機が無さすぎる」
「生きても死んでも同じって事?」
「違う、生きてもいないし、死んでもいない」
「………」
私はその答えの意味がわからず黙ってしまった。
「僕はここに居るって幻想なんだ」
「………」
「でも僕は考え苦しみここに居る、それを証明するために死ぬんだ」
「復讐もかねて?」
「理由と動機は必ずしも一致しないものさ」
男はどこか寂しそうな目をして言った。