届かない想い…生きて。
今日も施設には帰らずに、涼の家に行く事にした。
もう涼の家にはたくさん来ているけど、何回見ても凄い迫力のある家だ…と思う…。
重い門を開けると、玄関先には50代ぐらいの男の人が立っていた。
「こんにちは…、涼さんのお父様ですか?」
アタシは絶対に涼の父親だと思って声をかけた。
「……君は……?」
低い声がかすかに聞こえた。
「涼さん…の友達です…。」
「涼…か…、家に入ってなさい。もう少ししたら帰ってくるはずだよ。」
「はい………。」
涼の父親は門を出て、大きくて黒い車に乗って行った。