届かない想い…生きて。
「俺の父親は、瀬尾財閥の社長だ。」
「え…あの有名な…?」
涼はゆっくり頷いた。
瀬尾財閥は、日本経済を左右するほどの権力を持っている財閥。
世界的にも有名な財閥である。
「俺の兄弟は姉しかいない。だから、俺は小さい頃から次期社長と決まってた。」
涼は、拳をギュッと握りしめた。
「俺は常に成績優秀、スポーツ万能でなければいけなかった。だけど………。」
「だけど…?」
「高3の時、喧嘩した。ただそれだけだったのに瀬尾財閥の名誉を傷つけた。」