届かない想い…生きて。


「わかりません…」


「なにか覚えていることはありませんか?」


覚えていること…。


家族も知らない…。


月…?


そうだ、大きな丸い月。


「漆黒の闇にある輝いて大きな丸い月…」


それが私の覚えている唯一の記憶。


「月…?あの事故の日は満月でしたかね…??」


「先生、あの日は大きな月ではなかったですか!綺麗でしたね~。」


………。


「…とにかくゆっくりでいいので思い出していきましょう。」


「はい…。」


私の長い長い記憶探しの始まり、そして学校でおきたあの恐怖の始まりであった。



< 9 / 125 >

この作品をシェア

pagetop