届かない想い…生きて。
「わかりません…」
「なにか覚えていることはありませんか?」
覚えていること…。
家族も知らない…。
月…?
そうだ、大きな丸い月。
「漆黒の闇にある輝いて大きな丸い月…」
それが私の覚えている唯一の記憶。
「月…?あの事故の日は満月でしたかね…??」
「先生、あの日は大きな月ではなかったですか!綺麗でしたね~。」
………。
「…とにかくゆっくりでいいので思い出していきましょう。」
「はい…。」
私の長い長い記憶探しの始まり、そして学校でおきたあの恐怖の始まりであった。