駆け引き×スクープ2~雪月鬼~
スクープ2
ーその昔、江戸時代
まだ身分の差がある時代。
この地は白い雪が降りそそぐ地だった。
白い雪が降りそそぐ中、2人の男女が出会った。
2人はお互い恋に落ち、
度々会えば逢瀬を重ねた。
だが2人の恋は報われないものだった。
何故なら女は盗賊の娘
男は武士で決められた婚約者のある身だったからだ。
その内、娘は男の赤ん坊を身ごもった。
2人は駆け落ちの約束をした。
2人が初めて会ったあの場所でー‥
先に着いたのは女
女は待った。
ひしひしと降りそそぐ雪の中
だが男は来なかった。
娘は泣いた。
そして数日後、
男が婚約者と結婚したと聞いたー‥
娘はまた泣いた。
ショックのあまり、死産した。
それを知った娘の父親の盗賊の頭は怒り狂った。
仲間を引き連れ、男の村を襲った。
村は焼け、
村人は血を流す。
1人になった男は娘に許しを乞う。
娘の涙は枯れ果てた。
必死に許しを乞う姿は滑稽で娘は何故こんな男を愛しいと思ったか
ふ、と娘は笑った。
月が娘を照らす。
嘲笑った娘の顔は月明かりのせいか
いつもより美しかった。
まるで雪女の様だった。
降りそそぐ雪の中、
娘はかつて愛した男へ、短剣を振り落としたー‥
それ以来、
娘をみた者はいないと云う。
だが、
雪の中、美しい女が立っているのを見た者がいると言う。
それ以来、
幼い子供や、女を踏みにじった男が謎の死を遂げる事が多くなったと言う。