駆け引き×スクープ2~雪月鬼~
「栗塚さん……!」
「何やってんのキミは」
ハァ、と溜め息をつく栗塚さん。
助けてくれたんだ…
栗塚さんが手を引いて立たせてくれた。
「あ、ありがとうございまし……たぁ!?」
ーゴリゴリゴリゴリ…
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!!」
栗塚さんに頭をぐりぐりされた。
「…何してるんですかぁ……」
「馬鹿っ!!」
ヒィッ……!!
怒られた!!
「何を……怒って……」
手を引かれ、
廊下を歩く。
でも決して、その手に力は籠もってなくて
いきなり栗塚さんが止まる。
「栗塚さ……ッ!?」
手を引かれ、
背中が壁に触れる。
栗塚さんと壁に挟まれる
「何であんな真似した?」
栗塚さん、
怒ってる。
でも、怒ってるだけじゃない。
心配、してくれてるんだ。
私を
「ごめんなさい。何か情報が掴めると思って……」
「夏梨名ちゃんがそこまでする必要はない。」
「…そんな言い方…!!」
「心配して言ってるんだ。」
っ……
口を噤む。
「夏梨名ちゃん、自覚して。君は女性だ。あんなやり方で情報は二度と掴もうとするな。もっと自分を大事にしな。」
栗塚さんの声は、決して荒げる事がない。
優しく諭すように。
その言葉がすんなりと心に落ちる。
「大事にして。心も身体も。君だけのものじゃない。君にもしもの事があれば、赤川さんや神田達、たくさんの人が悲しむ。」
栗塚さんの、目を見つめる。
「それに、俺だって……」
ードキ、ン……
少しだけ、胸が大きく波打つ。
何?この気持ち……
「行こうか」
栗塚さんが離れる。
私は後をついて行く。
わからない。
けど、
栗塚さん。
アナタは、
ズルいー………