彼女のご機嫌
Ⅲ
「杏奈」
「ん?――…ってぇ!?」
楓はあたしの腕を掴んで走り出した。
なになになになになになになになになになになになにぃ!?
一体なに―――!!?
「はぁ…ッなに…?」
「ごめんッ!!」
「……へ?」
「俺…マジ最低だし!」
その場にしゃがみ込む楓。
「え?は?……何が?」
「俺…杏奈に妬いてほしかっただけ、なんだよ。」
「え?」
「いつも冷静だし、話してもなんか流されるし、俺だけ好きなんかな?って思って…」
え、楓は分かっててしたの――…?