奇跡の花がここに咲く
・・・いったん家を飛び出したものの、こっそりと戻って財布の入ったバックを持ってまた家から出る。
特に行きたい所も無く、しばらくフラフラしていると、昨日の事が思い浮かんだ。
そういえば、ツツジに「明日来てもいいか」って言ったんだっけ・・・。
夢かもしれないと言う疑惑を抱きつつも、自動ドアから中に入る。
午前は客が多いのか、昨日と比べれば遥かに人が多い。
エレベーターを使って2階に上がり、211号室のドアを開ける。
そして、俺の目の前に広がった光景は・・・・
無人の個室。
ベットはキレイに整えられ、人気が全く無かった。
・・・やっぱり、夢だったのか。
あの時、拓馬と健とはぐれてから、きっと俺は恐怖で幻覚を見てたんだ。
で、合流して拓馬たちと幻の話をして帰ったわけだ。
・・・あーあ・・・。
俺の初恋、ここに儚く散った。
思い出すたびに悲しくなる。
あの大きい瞳。
整った顔。
綺麗な髪。
性格も悪くない。
女で可愛くて性格のいい奴なんて現実そうそういない。
勢いよく病室から飛び出し、病院から出て行った。