奇跡の花がここに咲く
「ユウが来てないと思った時は、心配したんだぞ。」
可愛く顔をしかめた後、ゆっくりと笑う。すると、
―ギュルルルル・・・・
「あ、鳴った。」
ツツジは自分の腹を見て呟くと、元気すぎるまでに大笑いした。
「ハハハハ!そういえば朝ごはんほとんど残してんだっけ。そりゃお腹も空くよ。腹の蝉って奴?」
・・・そりゃあ腹の虫だろ。
「ああ、さっきパン買ったんだけど・・・一緒に食うか?」
俺がツツジの前にチョコパンを差し出すと、ツツジは何故かポカンとしてパンを見つめた。
「・・・・。・・・何これ?」
・・・はぁ!?
知識的記憶喪失ってここまでひどいのかよ。
まさかパンと言う常識的日常食材まで忘れているとは・・・。
ツツジにパンの事を説明しようと思うが、正直細かい事までは知らなかった。
「えー・・・と。まあ取り合いず、パンってのは、ここで言うご飯っつーか米っつーか・・・そんな所。」
「うん。」
理解できたのか、それとも気を遣って分かったと言ってくれたのか。
俺がサンドイッチを口に運ぶと同時に、ツツジもパンを口に入れた。
「おいしいっ!」
「そうか?」
俺はパンなんてよく学校で買って食べてるからそこまで美味しいと感じた事は無いが、多分、ツツジは気に入ったのだろう。