奇跡の花がここに咲く


ツツジと何とか和解し、無事家に帰った頃には、いつの間にかもう午後4時になっていた。
「あ、お帰り。」
お袋がこちらを向いて言う。
「今日何食べたい?」
「別に。何でも。」
それを聞くと、お袋は一反驚いたような顔をして、何事も無かったように台所に向かう。



・・・・・夜・・・・・・
風呂から出て、台所に向かうと、姉貴とお袋が話している。
「お、出たの?」
コーヒーのカップを置いて、姉貴がこちらを向く。
「あ、そうだ。優、今日あんたおかしいんだって?」
「あ?」
「母さんが言ってたぞ。「今日何食べたい?」って聞いたら、「何でもいい」って答えたらしいじゃねぇか。」

いつもなら「外食ー。」と、馬鹿げた冗談をかます俺が「なんでもいい」と答えるのは、この家にとってはまさに異常事態の一つなのだ。

「何かあったのか?」
「何もねぇよ。」
ツツジと会ったことを思い出すと、またしてもにやけてしまう。

「まさかお前・・・好きな奴できたのか?」
・・・女と言うのは何故こんなにも勘がいいのか・・・。
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