奇跡の花がここに咲く
癌・・・
その言葉を聞いて、俺は固まった。
「な・・・何で・・・」
「あ、何かねー、身体検査した時にたまたま見つかったんだって。6ヶ月前に余命は8ヶ月って言われたから・・・うん、まだ2ヶ月も生きられるぞ。」
その淡々とした話し方とは逆に、俺はツツジの声さえも聞こえない状態だった。
あと2ヶ月で・・・ツツジは死ぬ。
何が「あと2ヶ月も」だよ・・・。
あと2ヶ月しか生きられねぇんじゃねぇか・・・!
口に出したかったが、声が出ない。
「嫌じゃねぇのかよ・・・。」
「何が?」
「あと2ヶ月しか生きられねぇのに、嫌じゃねぇのかよ!あと少しぐらいで死んじまうのに・・・!・・・せっかく・・・出会えたのに・・・!」
いつの間にか、俺の声は泣き声にかわって、視界が潤んできた。
・・・泣きそうになってるんだ。
何で癌に侵された本人は泣いてねぇんだ。