奇跡の花がここに咲く


「お前・・・泣かねぇのかよ。」
それを聞くと、ツツジはきょとんとしたような顔で、そして後に笑顔で言った。

「泣いてどうにかなるもんじゃないよ。泣いて病気が治るんなら、僕だって泣いてるし。
どうせ死んじゃうんなら、消えた思い出をたーっくさん作ってさ、綺麗に死にたいだろ?」

ツツジの言っている事には、何故か説得力があった。
俺は何故か、その言葉を受け止め、こぼれそうになっていた涙を必死に抑える。


「それに・・・」
「?」
「今癌で入院してなかったら、あの時ユウに会ってなかったかも知れないじゃないか。」
そのまま、ツツジは話し続ける。

「癌って言うのはさ、何か悪者みたいに言われてるけど、意外と良い者じゃないのかな?」
「はぁ?」

人が死ぬ病気なのに、ドコが良い者だよ。


「例えばさ、全然終わってない宿題を、明日までに終わらせろって言われたら、いつもより必死に勉強するよね?」
「まあ・・・。」
「それと同じだよ。」
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