奇跡の花がここに咲く

女子たちの悲鳴の原因は・・・何故か自分で動くゴツイ腕だ。
いろいろな所にくねって気持ち悪い。
多分、弘の失敗作だろう。

「・・・失敗か。」
低い声で弘が言う。すると、いきなり懐からカッターナイフを取り出し、ゴツイ腕に向かってナイフを投げつける。
カッターは深く腕に刺さり、腕は動かなくなる。
『こんな腕・・・真央には似合わない。』
だから、真央って誰だよ。
弘の心の声に毒づきながら、まるで浮気している彼氏に問い詰める彼女のような言葉遣いで言う。
勿論、心の中でだ。

「全く・・・。」
腕を拾い上げると、弘はゴミ箱に捨てた。
「うわっ・・・また変な物開発してるよ。」
「顔はいいけど・・・キモイよね。」
今の声は、確実に弘に聞こえていただろう。
弘は、少しピクッとするが、聞こえないフリをして部室に戻っていった。


学校が終わり、校舎を出る時に、健が笑いながら言った。
「お前、あの時の病院の子とよく会ってんの?」
「まあな。」
「へぇ~そうか。しかしいいなぁ。あんな可愛い子、ここら辺じゃああんまり見かけねぇよ。おまえ、女作るチャンスだぜ?」
「嫌みかよ。」
俺は健の脛を軽く蹴る。

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