奇跡の花がここに咲く
「彼女がいねぇよりマシだろ。良かったじゃねぇか。高校生活を寂しく終えるよりはいいだろ?」
「寂しいってお前・・・殺すぞ。」
「ははは、悪ぃ。」
でもよ・・・と、健があることを付け足した。
「女できねぇといえば、あの科学部の奴が一番当てはまってると思うよなあ。」
「確かに。」
俺はそう答えるものの、何故かあの『真央』と言う名前が蘇る。
蘇るが、「どうせ妹か何かだろ」と言う俺の考えにすぐ引っ込む。
引っ込むが出てくる。
その無限ループを繰り返している俺に、ある疑問が浮かぶ。
「・・・なぁ、アイツって、何で腕なんか造ってんだろうな。」
俺が健に尋ねた理由は、コイツが学校で一番情報有力だからだ。大抵の噂や情報なら何でも知ってる。
しかし・・・
「さぁ、知らねぇ。」
情報は無しだった。
「だってよ、アイツって性格も素性すら知られてねぇだろ?オマケに近づきにくいからさ・・・。まぁ、どうせ変人特有の「奇妙な物を造ってみたい」っつー好奇心じゃねぇの?」
「あー、ありえるな。」
俺が納得したように言ったその時、
『人の気も知らないくせに・・・。』
・・・弘の声だった。