奇跡の花がここに咲く
「え・・・?」
「見てたのか・・・?」
多分、さっきの話の事だろう。
弘に嘘をついてもどうせ見抜かれるだろうし、ゆっくりとうなづいた。
「・・・そうか。」
てっきり睨まれると思ったが、軽い返事だった。
「ッ・・・。睨まれると思っただろう。」
心を読まれたようだ。
唇の端を歪めて、弘が悪戯っぽく微笑む。
こいつの笑った顔を見るのは初めてだ。
「学校で睨んだのが、そんなに怖かったか?」
馬鹿にしてんのかよ。
俺の中でようやく苛立ちが目覚め、牙をむくように弘に言う。
「ビビッてねぇよ。」
嘘・・・というより、見栄だ。
本気で怖かったのに、何故か見栄を張ってしまう。
しかし、弘は俺が見栄を張っていることを見抜いたのか、小さな子供を見るような目でフッと笑った。
「別に、さっきの話を見ていたことに関しては、俺は何も言わない。安心しろ。」
それだけ言うと、素早くその場から去っていった。