奇跡の花がここに咲く
次の日、放課後にて・・・
昨日の弘の話がどうも気に掛かり、俺は科学部室を訪れた。
心の声では、あんなに強い想いが伝わってきたのに、何故真央本人の前ではあんなに無表情なのか。
どうして、腕の事を隠しているのか。
知りたかった。
「・・・で、何の用だ?」
科学部室の中、無表情で弘がこちらを向いた。
「真央って奴に造ってんの?その腕・・・。」
「・・・何でもいいだろう。人の勝手だ。」
「好きだから・・・助けようとしてんじゃねぇの?」
その言葉に、弘は少し反応したような素振りをする。
「・・・不良の割に、人想いだな。」
「うるせぇよ。」
想っているわけではない。
ただ、弘の本音が聞きたかった。
どうして、真央に腕の実験の事を言ってやらないのか、と。
「腕の事、言ってやらなくていいのかよ。」
「・・・・」
器具をガチャガチャいじりながら、弘は静かに答えた。
「その事を言ったって、失敗ばかりだから惨めなだけだろ。そんな事伝える必要は・・・」
そう言いかけた弘の頬を、俺は思い切り殴った。
弘は一回よろけると、体制を立て直し、手の甲で俺の額を打つ。
コイツ、意外と強ェ・・・。
・・・上等じゃねえか。
睨まれた時の恐怖心は消え、喧嘩に血が騒いだ。