奇跡の花がここに咲く
呆然としている俺に、医者が言った。
「・・・ここにいた人は、もう7日前にご臨終です・・・。」
7日前・・・。
そんな前だったら、もう葬式も終わっちまってる。
ツツジはいつか死んでいた。
それは分かっていた。
でも、俺は・・・ツツジを見送ってやれなかった。
「・・・・」
言葉が出ない。
ただ・・・純白のベットを見つめていた。
ポタッ・・・
涙がこぼれた。
この部屋には誰も入ってこない。
ただ、俺を見守っているだけだ。
目の前の現実に叩きのめされ、俺は勢いよく自分の部屋に戻り、布団を被った。
声を出さず、静かに虚しく泣いた。
夕方になり、辺りが暗くなり始める。
『ユウ、バイバイ。』
いつもなら、ツツジがそう言ってくる。
でも・・・今は聞こえない。