奇跡の花がここに咲く
奇跡が一輪

ツツジとは、一般的には低木で春や秋に花を咲かせる木。
里山や深い山に生息し、花弁が5枚のピンクできれいな花だ。

ツツジが死んでから3年。
高校を卒業した俺は森林や環境調査の仕事に就き、結構上手くやっている。

「中山君って~何でツツジが生息してる山にばっかり行くの?」
そんなの・・・ツツジが好きだから。

「ちょっとちょっと、」
さっき話していた同僚の女に、もう一人の女が小声で話しかけた。

「高校時代の彼女がツツジって名前で~、 3年前に癌で亡くなったらしいわよ。」
「え~可哀相。未練があるんだ。」

聞こえていたが、俺はほとんど無視していた。

もう、その事に関して弱音は吐かないと決めた。
強く・・・構える。

ただそれだけを意識して、この仕事をしている。

今日もまた山に入り、色々な木の写真を撮ってきた。

勿論、その中にツツジは欠かさず入っている。

久しぶりに休暇が取れて、実家に帰ることにした。
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