ごめんね、先生。
まだかけたことのない、電話番号。
一か八か。
ふるえる指で発信ボタンをおす。
『はい。』
「せん、せい…??」
声がふるえる。
『鹿島、か??』
「うん。」
『どうした??』
先生の声は優しくて、安心する。
「先生、今学校??」
『うん、あでも大丈夫。準備室だから。』
準備室というのは数学準備室。
しかも準備室を使ってるのは先生だけ。
だから電話しても大丈夫だよってこと。
「先生助けて…」
『どうしたっ?!』
少し焦る声。
「あたし…」
トイレに閉じ込められちゃった。
そう告げると電話の向こうから笑いを抑える声。
『ぷっくくっ…』
「先生ー。」
『ごめんごめん。』