君に聴かせたい
T字路が近づくにつれ、コンビニが視界に入った。




待ってくれ、その道は行きたくねえ。



予想もしない感情が沸き上がる。



身体が勝手に立ち止まろうとする。



由里の手に力が加わった。





雨は本格的に振り出しアスファルトの色を変えている。



角を曲がりかけたとき、立ち眩みのように意識が遠のき映像がフラッシュバックされた。






あの日、ボストンにいく前の日、手を振って別れ、歩き出し、曲がる瞬間に振り返ったときの映像。





駐車場に座り込み泣いていた姿。






...麻梨...



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