君に聴かせたい
家族写真を机に戻した由里が小さく声を上げた。



「これ麻梨ちゃんの携帯じゃ…」



確認するようにこっちに向ける。



見覚えのあるクマのストラップ。



間違いない、麻梨のだ。



俺の表情だけで確信したように携帯を開く。




「あたし麻梨ちゃんの写メをもらうことにするわ」




写メを見てるであろう由里の表情はみるみる泣き崩れて行った。



「これライブ後の写真だ...」



いつくしむようにゆっくりとキーを押している。



そして意を決して自分の携帯をポケットから取り出した。



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