君に聴かせたい
そしてある日、今度は俺が由里を呼び出した。


連絡を取ったのは、あの日以来始めてだった。





「涼太...ごめん」




会うなり、由里はそう言った。




「つらい思いさせるのわかってた。

でもこのままの涼太じゃいけないって」




わかってるさ、抜け殻みたいだったからな俺。




「だからあたし強引に...」




「それ以上言うな。わかってる」




涙をいっぱい溜めた由里を見つめる。





「やっと素直に感情を出せたんだ。感謝してる」





「涼太...」





そうさ現実逃避してただけなんだ。





ふぬけなとこなんか麻梨に絶対に見せたくない。






あいつが好きだった俺でいてやるんだ。

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