君に聴かせたい
拓海は続けた。



「それにライズのメンバーは全員がプロ志向じゃないだろ?

もっとはっきり言えばプロでは通用しないレベルだ」




俺のバンド、ライズクロスは中学の同級生で結成した。



今でも活動は続いているが、あのコンテスト以降ライブも決まってない状況だった。



詞も曲も俺が作ってるし、おおまかなアレンジも担当している。



レベル的に見てもこのまま一緒にプロになれないのは確かだった。






「でも俺はシネマを倒すためにやってきたんだ。

中に入っちまったら倒せない」




由里と拓海は顔を見合わせた。






この思いを口に出したのは初めてだった。


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