君に聴かせたい
静寂を破ったのは、うつむいたまま笑みを浮かべた拓海だった。



「ったく、ふざけんじゃねえよ。

メンバーよりシネマをわかってるじゃねえか。

これでサポートなんて許されるかよ。

なあ由里」




「.....」



返事がない。



違和感を感じ視線を向けた。





「おまえ...泣いてるのか?」



由里はその場に座り込み両手で顔を覆っていた。



かすかに声が漏れた。



「...すごいよ。これがほんとのシネマ。

間違ってなかったんだ...」




続いてすすり泣く声が聞こえた。


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