君に聴かせたい
「ふ~ん」
腕組みをしてなにか考えてる様子を見せたが、すぐにこう切り出した。
「なら、ここでバイトしねえか?」
「えっ?」
「涼太がよければここで働けってこった」
そんなことが許されるのか?
そりゃ、そうできるならこんなありがたいことはねえけど。
突然の申し出に戸惑ってると静さんが続けて言った。
「大してバイト代も出せねえけど、練習がないときはここで働けばいい。
もちろんスタジオ代はちゃんともらうぞ」
「じゃあそうする。静さんありがと」
バイト誌は開かれないままゴミ箱行きになった。