君に聴かせたい
由里はいたずらっ子のように笑った。




「確かにね。あっごめん」




「いいよ、ほんとのことだ」




「正直に言うね。

確かにドラムとベースはグルーヴが噛み合わない感じだったし、その他は論外のレベルだったと思う。

でもね涼太のビートは背筋がゾクゾクした。

フレーズにしても決してボーカルの邪魔をしなかった。

いても立ってもいられなかった。

このベースの中で歌いたい。

もう一目惚れよ」




褒められることに慣れてない俺は思わず下を向いた。

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