君に聴かせたい
麻梨は笑顔になった。



「そうだよね。シネマが負けるわけないから」



「その通り。早く行こうぜ」



「うん!」



追いつくのを待って再び並んで歩き出す。



そして静かに言った。



「見送りに行けなくてごめん」




麻梨は黙って何度もうなづいた。

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