君に聴かせたい
拓海も由里も肩をすぼめている。




その態度が気に入らなかったのか、今度は俺に向かって言った。




「おいっおまえ、俺のベース聴いてビビんじゃねえぞ!」




なんなんだよ、こいつ。




ったく、自分のことしか考えてねえのか?




「大事なのはアンサンブルだ。ベースがどうのこうのじゃねえよ」




「ふんっ負け惜しみか」




ダメだ、話が全く噛み合わない。




「どっちにしろ今日はっきりするさ」



ため息をつきながら答えた。




恭司は挑発に乗ってこないことに痺れを切らしたように舌打ちすると去っていった。

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