colorful -カラフル-
出会いの色 -紫-
足が痛くてその場にうずくまった。ボールが床にたたき付けられる音、靴が床を擦る音、応援する声で溢れていた体育館から一瞬にして音が消えた。
「塚越!」
俺を呼ぶ仲間の声。視界の端に映った赤い文字は時を刻むのをやめていた。そして審判が何か言っている。観客席の方からも声が上がってきた。
「大丈夫か、塚越。」
篠原は心配そうな顔を俺に見せた。いつも笑っている篠原にこんな顔をさせたのは俺か?
「見せてみろ。」
顧問の教師が俺の足首にそっと触れた。たったそれだけなのに、体に電撃が走ったような、凄い痛みがした。しかめた俺の顔を見た顧問は、俺の肩を支えながら立たせ、補欠要員のパイプ椅子に座らせた。そしてそこにいた補欠の奴に変われって言ったんだ。俺が座ったまま立ったそいつを見れば、もちろん見上げることになる訳で。一瞬だけ、目が合った。微妙に口角が上がっていたのは、気のせいじゃないんじゃないか?チームメイトにそんな感情を抱いてしまう自分が許せなくなって、頭を抱え込んだ。