colorful -カラフル-


 精密検査を終え、俺は病室に戻った。検査結果が気になってバスケなんてしてられない。もしこの先バスケが出来なくなったら…。そんなことを考えたら、できる時にやっとけば良かったのかなあ。

 病室に戻ると部屋の電気は消えていた。浜野さんの姿もなく、浜野さんの車椅子もなくなっていた。少しだけほっとした自分が恨めしかった。

 松葉杖を立て掛けて、ベッドに腰掛けた。窓の外ではさっきのバスケットコートで翔太が練習をしていた。その姿を見て、少し口元が緩んだ。昔の自分を思い出す。それと同時に篠原のことも思い出した。

 本当は少し分かっていた。骨折したことによって失ったもの。時間もそうだけど、俺にとっては大事な友達も、一緒に失った気がした。篠原は、俺の大切な大切な仲間なんだ…。

 出会ったのは中学の時。確かあれは冬の練習試合でだった。相手校は私立。俺的には絶対負けたくなかったし、もちろん負けなかった。でもシュートを決めまくっていたのは俺ではなくてチームメイトだった。俺はシュートを外していて、調子が悪かった。だから試合が終わった後、俺はその日の反省をするために一人で公園に向かった。近所のバスケットゴールがある小さな公園だ。一人でシュート練をしていると、そこに学ランを着た奴が来た。それが篠原だった。
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