colorful -カラフル-
試合が終わった後に顧問とマネージャーの付き添いで近くの島村整形外科医に向かった。本当なら仲間と一緒にカラオケに向かうはずだったのに。でもみんなの空気を壊さぬよう、笑顔で別れた。
「すんません、俺のせいで。」
受付で順番を待っている間、ベンチで俺は二人に謝った。疲れているのに付き合わせてしまったことには悪いと思っている。
「悪いと思ってるなら、さっさと直してさっさと復帰しろよ。明日からも変わらず部活はあるぞ。」
バスケ部の顧問はこんな奴だ。厳つい顔をしているのに、情が篤い。厳しいことを言うくせに、根は優しい。マネージャーは隣でニコニコしていた。この山崎先輩もいつも部員の心配をしてくれて、良い人だ。こんなバスケ部が好きだ。大好きだったのに。
「次、塚越さんどうぞ」
部屋の中から声がした。右足を引きずりながら俺は部屋の扉を開けた。
部屋に入るとパソコンとかが並んだ医者の机が目に入った。椅子に座ってこちらを見るのは島村整形外科医の院長だろう。眼鏡をかけた白髪の優しそうなおじさんだった。俺は一つお辞儀をしてからドアを閉め、足を引きずった。
「どうしましたか?」
「バスケの試合で足を痛めました。」
きっぱりとそう言えば、おじさんはそうですかと言って目を細めた。だんだん心拍数が上がってきた。頼むから、折れていないでくれ。